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ウールを紡ぐ

紡ぎの道具

原毛を糸に紡ぐ道具として、これまで様々な道具が開発されてきました。その中でもっとも原始的な道具がスピンドル(spindle)です。スピンドルはその使い方によって、ドロップスピンドルと、サポーテッドスピンドルに分類されます。前者は、スピンドルを宙に浮かせ、原毛に撚りをかけて紡ぎます。スピンドルの重さが原毛にかかりますので、丈夫で固撚りの糸が作れます。一方後者は、軸の先端を床あるいはテーブルの上に立て、軸をコマのように回転させて紡ぎます。細く甘撚りの糸を作るのに適しています。

このスピンドルが改良されて出来たのが、紡毛機・紡ぎ車(spindle wheel)です。紡ぐ原料、作り上げる糸の性質、量など様々な観点から、紡ぎ車は改良され、現在に至ってます。

スピンドルでの紡ぎ方

ここでは、ドロップスピンドルの紡ぎ方をご紹介します。

1)スピンドルの軸に元糸を付けます。市販の固撚りの糸を50cm位用意し、軸に結びつけたあと、時計回りに巻き付け、10cm位残してフックに引っかけます。

2)元糸の撚りを戻し、原毛を挟み込み指でしっかり押さえます。

3)右手で、軸を時計回りに回し、原毛と元糸をつなげます。

4)原毛を手指で扇の様に拡げ、さらに勢いよく軸を回し、スピンドルを宙に浮かせたあと、右手で原毛を引っ張り降ろします。撚りがかかるのに合わせて添えた指を上にずらし、再び減耗を繰り出します。

5)スピンドルの回転が止まったら再び、軸を回転させます。

6)こうしてできあがった糸を軸に巻き取ります。

紡毛機での紡ぎ方

紡毛機での紡ぎ方には、大きく分けて2通りの方法があります。一つはショートドロウ(short drow)、もう一つはロングドロウ(long drow)です。前者は、ドロップスピンドルの使い方に似ており、あまりカードされていない原毛を使う場合う場合や、比較的太い糸を紡ぐ場合に用いる方法です。後者は、糸を長く引くので、スピードは早いですが、よくカードされていない原毛やスライバーの状態の原毛でないと途中で切れてしまいます。ここでは、ショートドロウの方法を紹介します。

1)紡毛機の正面に座ります。

2)ボビンに元糸を結びつけ、ボビンを心棒にはめます。元糸の長さは、50cm位、ドライブハンドを正しく掛けます。

3)元糸をフライヤーの一番手前のフックに引っかけ、カギ針を使って心棒の目から入れ、口に引っぱり出します。

4)元糸の先をほぐして、原毛の先端を挟みます。右手の親指と人差し指で合わせ目をしっかり押さえます。左手で原毛を軽く握ります。

5)ペダルを踏んで、はずみ車を時計回りに回して、元糸と原毛をつなぎます。つながったら、右手で糸を心棒の口に送り込みます。同時に左手で原毛を後ろに引きます。

6)右手で口から30cm位のところを押さえ、ペダルを踏んで、その部分に撚りをかけて、右手で糸を送りこみます。同時に左手で、原毛を後ろに引きます。

7)この動作を繰り返します。原毛がなくなったら、糸の先をほぐし、新しい原毛を挟んでつなげます。