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疾病の予防と手当(内部寄生虫症)

胃虫症/原因と症状

原因は胃虫の寄生

  • 線虫の一種である胃虫が第四胃や小腸に寄生し、粘膜に付着して吸血するために発病する。
  • めん羊にとって最も危険な寄生虫であり、当歳から2歳のめん羊のほとんどが感染する。

主な症状として食欲不振・貧血・栄養障害が見られ、衰弱死することもある。

  • 栄養状態の悪いものや発育不良の子羊は要注意!!

条虫症/原因と症状

原因はサナダ虫の寄生

  • 拡張条虫などのいわゆるサナダ虫が小腸に寄生し、栄養の吸収や腸管の運動を妨げるために発病する。

症状は食欲不振・下痢・貧血などで、時には条虫毒素による神経症状がみられることもある。

  • 成羊では無症状のことが多いが、子羊や育成羊には大きなダメージを与える。
  • 糞に白い条虫のかけらが付着していたり、肛門からヒモ条の虫体が垂れ下がることがある。

内部寄生虫の感染経路

予防と対策

定期的な駆虫

  • 胃虫:放牧期間中1~3ヵ月ごと(濃厚汚染地では2週間~1ヵ月ごと)。
  • 条虫:離乳時期と交配の前、状況に応じて舎飼直前にもう1回(但し妊娠羊を除く)。

《駆虫時の注意点》

  1. 放牧地の汚染防止のため、駆虫後2~3日は舎飼とする。
  2. 駆虫後の敷きワラは堆肥にして、発酵熱で寄生虫の卵を殺す。
  3. 条虫の駆虫薬(ビチン)は胎児に悪影響があるため、繁殖雌羊の駆虫は交配前に行う。

めん羊は清潔で乾燥した場所で飼う

  • 寄生虫の卵もササラダニも湿気を好む。→湿地での放牧を避け、羊舎は風通しをよくする。

寄生虫に負けない健康な体作り

  • 健康なめん羊は多少の寄生虫にはビクともしない。→日頃から健康管理には充分な注意を!

治療

治療には駆虫薬の投与

  • 寄生虫によって駆虫薬が違う。→最寄りの家畜保健衛生所等に糞便検査を依頼し、寄生虫の種類を調べたうえで駆虫を行う。

症状の程度によっては、補液や健胃剤、整腸剤等の併用も必要

駆虫プログラム

  • ●▲は駆虫を実施すべき時期
  • ○△は状況に応じて追加が望まれる時期(放牧管理の場合は行った方がよい) 

寄生虫と駆虫薬

注意

駆虫薬には副作用や肉への残留の問題があるため、獣医師に相談し、正しく使いましょう。