腐蹄症は、めん羊の代表的な伝染性疾病の一つです。1頭でも罹患羊がいれば、瞬く間に全体に広がってしまいます。腐蹄症の蔓延を防ぐためには、日頃から観察と予防を心がけ、腐蹄症を発見した場合には、すぐに手当を行うことが大切です。
症状と状態の観察
離れた場所から観察する
- 腐蹄症の主な症状は跛行
重傷の場合は歩行困難に陥り、衰弱する。足を上げているもの、歩き方に異常があるもの、群から離れて横たわっているものに注意!!
捕まえて観察する
- 蹄部に熱感があり、指で圧迫すると痛がる部分がある。
- 蹄から腐敗臭がする。
- 蹄の先端や周辺部がひび割れ、泥が詰まっていたり、化膿している部分がある。
- 趾間の皮膚がただれ、炎症を起こしている。
原因
- 原因は細菌感染
蹄がひび割れていたり、趾間に傷があると、そこから細菌が侵入し、容易に感染してしまう。
腐蹄症を引き起こす要因
- 剪蹄が行われていない蹄
不整に伸びた蹄は、ささくれやひび割れが生じやすい。 - 伸びすぎた草地での放牧
伸びすぎた草が蹄の間にはさまり、傷をつける。 - 泥濘化した放牧地やパドック、不潔で湿った敷料
ドロドロ、ジメジメは細菌の巣窟。
腐蹄症の手当
脚浴槽の中に数分間立たせて消毒するのもよい。
注意
腐蹄症の予防と蔓延防止
- 定期的な剪蹄
2ヵ月に1回を目安に剪蹄する。 - 脚浴の励行(放牧用)
週に1度は硫酸銅(または硫酸亜鉛)溶液の浴槽を歩かせて蹄部の消毒をするとよい。 - 放牧地、パドックの環境整備
泥濘化の防止 - 感染羊の早期発見
日頃からめん羊の歩き方に注意して観察する。
特に長雨の後は要注意!! - 感染羊の隔離
他の健康なめん羊に被害が及ぶ前に、隔離して手当をする。 - 発生放牧地の休牧
腐蹄症が発生した放牧地は、少なくとも2週間は放牧を中止した方がよい。(腐蹄症の原因菌は、土壌中では10日間程度で死滅する。) - 剪蹄器具の消毒
腐蹄症の蹄を切った鋏などは、必ず消毒してから使用する。
剪蹄の方法
器具
剪蹄に使用する専用の鋏も市販されているが園芸用の剪定鋏でも剪蹄できる。
保定
めん羊を尻で立たせて保定し、四肢の蹄を切る。
蹄の切り方
・めん羊の蹄は先端と周辺部がよく伸びる。
- 薄く伸びた部分やささくれを鋏で切り取る。
- 鋭角になった切り口を丸みをつけるように切り取り、蹄の底辺が平たくなるように修正する。
抗生物質の使用は獣医師に相談する。