子羊全損耗の50~80パーセントは低体温症です!低体温症対策で離乳子羊を増やせます。
- 子羊は5時間分のエネルギーを持って産まれるが濡れた状態で寒冷外気に曝されれば5時間持たずに低体温症になる。
- 首尾よく初乳を摂取できなければ熱源不足で飢餓による低体温症となる。
1.胃チューブによる初乳
吸乳する力のない子羊に確実な初乳給与ができる!
- 膝に子羊を抱いて座り、チューブだけを口の横から挿入後、吸ってみる。
- 子羊が不快を示したり、空気を吸い上げられる時は気管挿入の恐れがあるので、やり直す。
- 40℃に温めた初乳を注射筒に吸い上げ、チューブに接続し、20秒程で注入する。
初乳について
- 当該母羊または乳量の多い別の雌羊から搾乳する。
- 代用品としては牛の初乳を利用できる。同一の抗体ではないが、近隣の似た環境の牛から確保すると良い。
- 小ビニール袋に1回量(50ml)づつ小分けして凍結保存しておく。
- 抗体が壊れるので40℃程度のお湯で解凍・加温して、使用する。
2.腹腔内ブドウ糖注射
緊急時エネルギー源を直接腸壁から速やかに吸収させる!
- 注射用20%ブドウ糖液20mlを40℃程度に温めて注射器に吸い上げる。
- 子羊の両前足を持って保定、臍右下約3cmをアルコール綿で消毒。
- 子羊の肛門に向かって注射針の根元まで刺し、ゆっくり注射する。
- 感染症予防のため、持続性抗生物質1ml筋肉注射の併用が望ましい
注意
3.温め、乾かす
比熱の大きいお湯で、濡らさず臭いも残して速やかに温める!
- ポリエチレンのゴミ袋に子羊を入れる。窒息に注意。
- 大きめのバケツに張った42℃程度のお湯に袋ごと入れる。
- 十分温まったらヘアドライヤーで乾かす。温かい部屋でできればベター。
注意
直に温浴させると臭いが消え母羊に戻せなくなる恐れあり。また、乾くまでに体温が低下してしまう恐れあり。
4.里親に付け子する
母羊が一番だが、三つ子以上は里親確保を目指そう!
- 機械的死産(病気でない)か単子分娩直後の羊を里親とする。
- 付け子する子羊は予めお湯で洗って臭いを除いておく。
- 付け子する子羊の特に頭と肛門に胎水・胎膜・生まれた単子等をこすり付ける
- 里親を寝させ、単子確認を兼ね、手指を消毒して内部を触診、疑似出産させる
- 単子とともに里親の前に置く。付け子の元気が良すぎる時は前足を縛っておく
- 里親が付け子を舐めて容認するのを確認。
- 分娩柵に母子を入れて見守り、手出ししない。里親が吸乳を容認すれば成功
注意
里親が付け子を認めず攻撃的な態度をとったら直ちに中止する。
5.その他感染症の予防
出生直後の臍帯からの感染防止がポイント!
- 子羊の両前足を持って保定する。
- ヨーチンのポリ容器に臍帯全体を入れ、臍の付け根に被せる。
- 容器を臍の周囲に密着させたまま、子羊とヨーチンを上下に十分揺する。
注意
スプレーでは盲点ができ、完全な消毒が難しい。
腸炎(下痢)の子羊には悪化させるので厳禁。